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機械は機械を信頼できるか——Back-Translationが抱える評価の矛盾
Back-Translationとは何か バックトランスレーション(Back-Translation)という言葉を聞いたことがあるだろうか。翻訳者なら、バックトランスレーションを提供して、と言われたことが一度ならずもあるかもしれない。 機械翻訳の世界では、品質向上と評価の両方に使われてきたまあまあ定番ともいえる手法だ。翻訳された文章をまた逆の言語方向に訳し直すだけのことだ。なーんだと思った人もいるかもしれないが、これはこれで結構厄介だ。翻訳とは単に言葉を置き換えるだけの作業ではないからである。一歩間違えればまったく別の意味になってしまうこともあるのだ。 しかしここ数年、その評価方法をめぐる議論が活発になっている。 また、Back-Translationには大きくわけて二通りの使い方がある。一つは品質評価としての使い方で、翻訳された文章をもう一度元の言語に訳し直し、原文と照合することで翻訳の精度を確かめる。これは依頼された人も多いかもしれない。もう一つはデータ拡張としての使い方だ。対訳データが少ない低リソース言語のMTモデルを学習させる際、ターゲッ

Kaori Myatt
5月24日読了時間: 4分


Zero-Shot Translation : 中間リンガで希少言語の翻訳が可能に
Zero-Shot Translationとは聞き慣れない言葉だ。この技術、翻訳業界にとっては果たして脅威となるのだろうか。機械翻訳の影響を受けにくいと言われる希少言語の翻訳市場を激変しかねない。Zero-Shot Translationとは一体なんだろう。 「Zero-Shot」とは何か 機械翻訳の世界において、Zero-Shot Translationとは、ある言語ペアの対訳データをまったく学習していないにもかかわらず、そのペア間の翻訳を実行できる能力のことを指す。従来の機械翻訳は膨大な対訳コーパスを必要としていた。英日翻訳モデルには英日データ、仏日翻訳モデルには仏日データ——という具合だ。しかし希少言語の場合、そもそもデジタル化されたテキスト自体が少なく、十分な対訳データを集めることが難しいケースも珍しくない。 こうした課題に対して登場したのが、多言語ニューラル翻訳(Multilingual NMT)である。複数の言語を単一モデルで同時に学習させることで、モデル内部に「言語を超えた共通の意味表現」が形成される。その結果、学習時に直接見たこと

Kaori Myatt
5月21日読了時間: 4分


Stochastic Parrots : 言語モデルデータと倫理について
つい最近、『On the Dangers of Stochastic Parrots: Can Language Models Be Too Big?』という論文が発表された。その論文を発表したTimnit Gebruという研究者が突然Googleを解雇されてしまったことで大変な波紋を呼んでいる。ことのいきさつと論文の倫理についてはWiredのこの記事に詳しいので割愛する。 その渦中のツイートはこちら。 解雇についての倫理問題は別として、私たち翻訳者にとって重要なのは、この論文の内容だ。 『On the Dangers of Stochastic Parrots: Can Language Models Be Too Big?』と題されたこの論文(Emily M. Bender et al 2021)は13ページのごく短いものなのですぐに読める。大きくわけていくつかの倫理問題に触れているので、簡単に日本語で説明したい。 まずこの題名「Stochastic Parrots」とはどのような意味なのだろうか。なぜ危険なのか。 実はSTOCHASTIC.

Kaori Myatt
2021年3月15日読了時間: 5分


機械翻訳で翻訳の仕事がなくなる日
機械翻訳で仕事がなくなる日はくるか ギズモードで「自動化推進」で仕事が消える日。同僚がリストラされた理由はボクが作ったプログラムだった」という記事を翻訳する機会があった。最近機械学習やAIについて調査する機会があり、AIも随分進化したものだと感心していたところだからタイムリーだった。 ちょっと長いが面白い内容なのでぜひ読んでほしい。この記事内にでてくる30年間その道を極めてきたプロトタイプの職人が、あっという間に3Dプリンタにそのポジションを奪われるところなど、身につまされる。だって今盛んに今世間では機械翻訳が取りざたされているから。 記事を書いている間に気になった。わたしがやっている翻訳の仕事は大丈夫なんだろうか。 THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? と題したCarl Benedikt Frey† and Michael A. Osborne (2013) の論文が数ヶ月前に話題になったが、この論文では 工業分野においては自動化や効率化

Kaori Myatt
2019年3月20日読了時間: 5分


HoloLends 2 に思うこと
MicrosoftからHoloLends 2 がリリースされた。Hololendsはマイクロソフトが名付けた仮想現実と現実とをミックスした「複合現実」(Mixed Reality)という世界をホログラムを通じて作り上げるという大きな野望である。 MMWC Barcelona (Mobile World Congress) のモバイルワールドコングレスに伴う発表イベントで、マイクロソフトのプレゼンテーション全編を見たが、驚くべきことにすでにホログラムはすでに実用段階に来ている。実際に米企業ではいくつかが製品のプロトタイプの作成や不慣れな作業員のトレーニングにすでにホログラムを採用し、膨大なコストを削減しているというのだ。もっとも驚いたのはホログラムのヘルメットをかぶると全関節を認知し、実際にホログラムに触れているかのようにふるまうことができる点だ。3Dの仮想世界で遠隔地の人たちが同時に作業できるなんて、「まるでどこでもドア」のようだ。 Microsoftは視野角1度につき「1度あたり47ピクセル」を損なうことなくHoloLens 2の視野

Kaori Myatt
2019年3月16日読了時間: 3分


Kaori Myatt プロフィール&実績まとめ
フランスで翻訳会社を経営しています。2015年に開業してから社員もだんだん増え、会社が大きくなってきました。 Word Connection sarlはフランスを拠点とする翻訳会社です。子会社にWord Connection JAPANがあります。また英国のChartered Institute of Linguistic のChartered Linguistとして認定されています。 CIOL Chartered Linguist 欧米を中心とする企業および多国語を扱う翻訳会社に日本語の翻訳を提供しています。業務は主に英日翻訳のコーディネートですが、その他には、多国語翻訳、翻訳品質の評価、大規模プロジェクトのコンサルティング、用語管理、データ管理、機械翻訳評価、翻訳支援ツールを使ったデータ処理、データ抽出、テクノロジーを使った用語抽出、バイリンガル・多国語ファイルのアライメント、翻訳メモリ構築、大規模翻訳のためのファイル準備、日本エンドクライアントとの問題解決、日本語によるエンドクライアントマネジメントなど、コンサルティング業務をすべて英語また

Kaori Myatt
2019年3月10日読了時間: 3分
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